2013/01/10

肩と背中、胸の中をゆるめる「蝶の羽回し・蝶の羽ばたき」=ふぁんそんテクニック・その5=




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和気信一郎の気功流癒しのテクニック~癒しの気功法~
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肩と背中、胸の中をゆるめる「蝶の羽回し・蝶の羽ばたき」=ふぁんそんテクニック・その5=2012/12/18

これまで、「ハンガースワイショウ」、「すわり金魚」、「すわりイルカ」の三つの「」ふぁんそんテクニック を実践的に学んできました。

今回は、まずはじめに、「ふぁんそんテクニック」のベースに流れている考え方についてお話しておきます。

「ふぁんそん」という状態は、体内がゆるんだ状態のことで、それを体性感覚(たいせいかんかく)という感覚で体感します。感覚と言えば、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚(温度感覚)の、いわゆる五感が知られています。

この五感は、私たちの皮膚よりそとにあるものを認識するための情報収集機関です。生存に必要な食べ物、パートナー、安全性などをキャッチして必要な行動を取るために情報を収集しているのです。ここで用いられている体の働き、即ち、五感→脳→行動の働きを、仮に「意識的分野」の機能としておきます。

ところが、「ふぁんそんテクニック」で用いられる体性感覚は、この「意識的分野」とは別の働きなのです。体性感覚というのは、私たちの皮膚より中の状態を認識するための情報収集機関です。どんな情報を収集して脳に伝えているのかと言えば、大きく分けて、次の二つです。

(1)一つは、自分の体がどんな風に動いているのか、即ち、腕はどの高さまで上がっているのか、肘はどれくらい曲がっているのか、足はどの向きにどれくらい開いているのかなど体の姿勢や動きの情報を脳に伝える働きです。

これを「運動感覚」と言い、この感覚がないと私たちは正常な体の動きをすることができないのです。

(2)二つ目は、体の中の情報、即ち、満腹感、空腹感、尿意、便意、心拍数などの情報を脳に伝える働きです。しかし、これらの感覚は、普段は感じることがなく、異常を感じた時に、その異常を脳に伝えるようになっています。

言わば、内臓の感覚を脳に伝える働きなので、「内臓感覚」と呼ばれる場合もあるのですが、例えば、肝臓や腎臓がどう働いているか、小腸がどう働いているのかなどは感じることも出来ませんので、「内臓感覚」とは呼ばずに、皮膚を含めた体内の感覚という意味で「体内感覚」と呼ぶべきでしょう。

この二つの体性感覚を用いて「ふぁんそん」の状態を作り、それを体感し、その体感によって「ふぁんそん」の状態を体内で動かしていくというのが「ふぁんそんテクニック」なのです。理論的な話の続きは次回に回して、次の実習に入りましょう。

【蝶の羽回し・蝶の羽ばたき】

(1)「すわりイルカ」で、胸から前に突き出していく時に、息を吸いながら肩を後ろから上げるようにし、背中を後ろに引き戻す時に、息を吐きながら肩を前から下ろすようにし、それを繰り返しましょう。

(2)その時に、気持ちを肩先にもっていって肩を回すのではなく、肩甲骨の間の背骨で肩甲骨を引っ張るようにしてみます。丁度、背骨を蝶の胴体、肩甲骨の外側までを蝶の羽と見立て、羽が胴体にくっついている部分で羽を回すようにするのです。

肩先を回そうとすると、首から肩の上にかけての筋肉で回そうとしますので、余分な力が入り、かえって肩が疲れてしまいます。背骨を支点にして肩甲骨の内側を引っ張るように回すことで、いわゆるインナーマッスルという深いところでの筋肉からゆるんでいくのです。

(3)背中がラクにゆるんでくる感じがするくらい、適当に「蝶の羽回し」を続けましたら、その羽の動きを前後のゆらしに変えてみましょう。背骨を前後にゆらすことで肩甲骨が蝶の羽のように揺れているのを体感してみて下さい。これを「蝶の羽ばたき」と言います。

(4)次に、気持ちを胸板(胸骨)に移し、胸板を支点に大胸筋(両胸と鎖骨の間くらい)を回すようにしてみましょう。体の前後のゆれによって大胸筋が引っ張られて回っているようにして下さいね。胸板に大胸筋がくっついている辺りを体感するのが、体の前での「蝶の羽回し」のコツになります。

(5)胸板から胸の中がゆるんできた感覚が出てきましたら、背中の時と同じように、体の前後のゆれによって大胸筋が前後にゆらされているような「蝶の羽ばたき」に変えて、胸板や胸の中の「ふぁんそん」の感覚を体感して下さい。

「ふぁんそんテクニック」の基本は、体内の心地よさの体感です。まずは、無理に形を正しくしようという気持ちをやめて、とにかく、体の心地よさを体感することを大切にしてみて下さい。次回は、「背骨でフラフープ」をご紹介します。

尚、来年一月から、第4日曜日の午後に名古屋市市政資料館をお借りして「ふぁんそん教室」を開催致しますので、詳しいことは和気のブログをご覧下さい。