2013/06/01

ゆっくり静かに、腹に落とすように息を吐く =気功を始めよう・その7=



中日新聞プラス 達人に訊け!

和気信一郎の気功流癒しのテクニック~癒しの気功法~
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ゆっくり静かに、腹に落とすように息を吐く =気功を始めよう・その7=2013/5/13

みなさん、こんにちは。

私たち人間の営みをよそに、梅、桜、桃、ツツジと花は移り変わり、次は、サツキ、バラ、花菖蒲、紫陽花へと移っていきます。

天人合一と言って、自然界の移り変わり、変化の法則に従って、植物や野生の動物たちのように、私たち人間も暮らしていければ良いのですが、人間社会が作った大きな縛りや小さな縛りの中で、私たちは季節の移り変わりとは関わりなく日々を送らされています。

時々は、空を見上げ、道の花々に目をやって、自分がこの大自然の一部、移り変わりの中で生かされている生き物なんだということを感じてみて下さいね。

さて、今週は、気功の三要素の三つ目「調息」について学びましょう。

1、呼吸法?
よく、「呼吸法を教えて下さい」と言われることがあるのですが、呼吸は私たちがオギャーと生まれてから、誰からも習わなくてもしている訳ですから、その質問は、「長生きをするために、或いは、健康になるためにはどういう呼吸法が良いのでしょうか」という意味だと思います。

それを考えるには、呼吸は何のためにしているのかということを考えてみる必要があります。

呼吸は、ご存知のように、体内に酸素を取り入れ、炭酸ガスを吐き出すためにしているのです。そのことをもう少し深く学んでみることにしましょう。

2、細胞が呼吸している?
呼吸には、外呼吸と内呼吸の二つがあります。私たちが「呼吸」と呼んでいるものは、この中の外呼吸です。

それは、鼻から気管、気管支を通って肺の中に空気を取り入れ、肺の中の空気を逆のルートで体外に吐き出す作業を指しています。この外呼吸の作用は、血液中に酸素を取り入れ、血液中の炭酸ガスを空気中に排出することにあります。

しかし、それは呼吸の表面的な理解です。

大事なことは、その血液中に取り入れた酸素を体中の組織に送り、それぞれの細胞たちに酸素を取り入れさせ、新陳代謝によって出来た炭酸ガスを血液の中に取り入れて肺まで運ぶという作業です。

これを内呼吸と呼び、これが生命にとって大事な呼吸になるのです。

つまり、細胞たちが良い呼吸が出来るようにしてあげることがメインで、呼吸法と呼ばれているものは、この内呼吸に働きかけ、細胞たちが沢山呼吸することができるようにするための呼吸法のことだったのです。

3、副交感神経優位の状態をつくる
細胞たちに良い呼吸をしてもらうためには、全身の細胞に血液を送らなければなりません。そのためには血管を広げて血液が届くようにしなければならず、体内を副交感神経優位にしてあげることです。

そして、この副交感神経優位の状態を作るための呼吸が、自分の呼吸を感じながら、ゆっくり静かに息を吐き出す呼吸なのです。

坐禅が、ゆっくり数を数えながら息を吐き出すのも、太極拳や気功が、ゆっくりした動きに合わせて呼吸をするのも、この内呼吸を大事にしているということになるのです。

気功的に言えば、ゆっくり静かに息を吐き出す時に、下腹の中に息を吐き降ろすような感じで、腹圧をかけながら息を吐くのが良いと思います。

調息という場合、

・荒々しい呼吸をしない
・音を立てない
・息を止めない
・速い遅いなどの乱れた呼吸をしない

などの決まりがあるのですが、それは、一言で言えば「ゆっくり静かに息を吐く」ということになるのです。

長い息は、「長息」、「長生き」につながると言われるのは、長い息が、副交感神経優位の状態を作り、細胞たちの行なう「内呼吸」を豊かにするからにほかならないのです。

【今週の練功】
一日数回、呼吸を感じながら、ゆっくり静かに息を吐き出してみましょう。